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3年前に二重価格をやめた店舗は「全廃した直後は売り上げが下がった」(代表者)という。原因は割安感が打ち出せなくなったことだ。「高いというイメージを持たれた部分はある。若年層の場合、表示された割引率をそのまま信じない人が多いようだが、年配層は割引率のアピールに弱いという印象だ」(同)。
もう一つの要因は、楽天市場の「バーゲン市場」に登録できなくなったことだ。「安いを探すならまずはココ! 本日限りの半額商品など激安バーゲン品を大特集!」と銘打った同コーナー。「訳あり商品」やアウトレットも含めて、割引率の高い商品を掲載していた。
「今はそれほどでもないようだが、以前はモールのトップページからリンクされていたこともあり、バーゲン市場経由のアクセスが期待できた」(同)。これまで導線として機能していたものがゼロになったことで、売り上げに影響を及ぼしたわけだ。
現在、同コーナーは「現在準備中」となっている。二重価格騒動を受けての措置かは不明だが、楽天では「コンテンツの見直しの一環。今後のことに関しては決まった事項はない」(楽天市場事業PR推進グループ)と説明している。
あるネット販売のコンサルタントは「何年も前から変わらない値段の『通常価格』を設定し、売り上げを増やしてきた店舗は多い」と指摘する。先の店舗では「本当に売っている価格に統一し、割安感を与えることにとらわれない売り方をしていくべきだと方針を変えた」(代表者)と当時を振り返る。近年、この店舗の売り上げは伸びている。楽天では「(比較対照として)表記できる価格名称を指定したうえで、システム的にチェックしたりするフローを構築する」(PR推進グループ)としており、今後チェックが厳しくなるのは確実。不当表示をなくすためには、まず出店者側が意識を変える必要がありそうだ。
楽天では先週末、RMS(店舗管理システム)上に今回の問題に関する動画を掲載した。32分にも及ぶもので、同社では「視聴してもらうことで、理解と意識を高めてもらうよう、店舗に案内を積極的に行っている」(PR推進グループ)と説明。ただ、動画を視聴したある出店者は「楽天としても『対策が甘かった』とは思っているのだろうが、それ以前に『大型セールに商品を出せば売れる』と煽っている印象は受けたし、割引率がおかしい商品が存在することは担当のECコンサルタントも気付いていたはず。その辺をどう考えているのか」と疑問を口にする。
11月30日からは「楽天大感謝祭」が開催される。最近の大型セールとは違い割引率などはアピールせず、獲得できるポイントも「最大20倍」と、宣伝はかなりおとなしめな印象だ。審査に関しては「大幅に変更した」(PR推進グループ)としているが、今後のスーパーセール開催時に「半額以下商品」を目玉にするかについては「未定」(同)だという。
(つづく)