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NTTレゾナントの「NTT-Xストア」 独自路線の仕入れ強化

2013年 8月 8日 16:33

031.jpgのサムネール画像 地上デジタル放送への完全移行やエコポイントによる特需の反動から需要低減に苦しむ家電業界。小売りでは家電量販店のみならず、前期大幅減収となった「ECカレント」のストリームを代表に、減収となるネット販売企業が目立つのが実情だ。

 こうした中で、NTTグループのNTTレゾナントが運営する「NTT―Xストア」は、前期(2013年3月期)も増収を達成。円安を受けた製品価格値上げによる単価増もあり、今期も4~6月売上高は、前年同期を上回っているという。創業(2000年)以来、13期連続で売り上げが増えていることになる。

 NTT―X Store店長の中田優氏は「ナショナルブランドの商品は、どうしても競合サイトと価格の叩き合いになり、結果として利益が取れなくなるので回避する必要がある。ハイエンド志向のユーザーやコアなユーザーにニーズがある、他社であまり販売されてない製品を扱っているのが大きいのでは」と分析する。

 同サイトの主力商品はパソコンや周辺機器だが、最近は既存店の売り上げ減に苦しむ家電量販店がネット販売に力を入れ始めており、パソコンの液晶モニターを代表に、価格競争が一層激しさを増している。加えて、主力の一つであったソフトウエアでは、パッケージソフトの販売を取りやめ、ダウンロード販売に絞るメーカーが出てきており、売り上げが減少。さらにはテレビなどのAV機器、プリンターも厳しい状況となっている。

 同サイトで最近力を入れているのは、今年から取り扱いを開始したデルの製品だ。NTT―Xストアの仕入れは、パソコン卸のダイワボウ情報システムが担当しているが、デル製品は従来からダイワボウが扱っていたものではない。パソコンや液晶モニターといったデル製品は、一部家電量販店の実店舗での取り扱いはあるものの、基本的にはデル直販のみの扱いとなるからだ。

 中田店長は「競合と価格のバッティングがない部分で、独自性を出すための仕入れ戦略を進めており、メーカーとの利害が一致した結果」とデル製品の取り扱い開始について説明する。期間限定のクーポンを付与するなど、値引き販売も行っているが「デル側と合意したもの」(中田店長)だという。この他にも、コアユーザーに人気があるネットギア社のNAS(ファイルサーバー専用機)の取り扱いも他サイトよりも豊富だ。「当サイトはコアなユーザーに一定の支持を得ており、こうした層に対し、良し悪しや価値が分かってもらえる製品については、他社で販売していないものを積極的に扱うのは戦略の一つ」(同)。

 今後はこうした独自路線をさらに強化していく予定で、「仕入れ交渉のうち2割弱程度は、新たなプロダクトの取り扱いやそのための情報収集にあてている」(同)という。同サイトでは以前、書籍やCDなどの取り扱いを計画していた時期もあるが、費用対効果を考えて断念した経緯がある。中田店長は「今後は(パソコンや周辺機器、家電の分野で)さらに強みを尖らせてく」としているが、NTTレゾナントの中期戦略としては、これまでとはまったく違うジャンルでのネット販売も、検討課題として挙がっているという。
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