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前期の国内リテール事業は、売上高が前期比6・6%増の156億8800万円と順調な伸びとなった。
前期は、ベースとなる取扱商品数を期末時点で20万1104点(前期比13・9%増※ケンコーコムシンガポール除く)にまで拡大させ、期中出荷件数も432万件と同10・6%の増加。対応強化に取り組んだスマートフォン経由の売上高が前期比2倍増の4億7300万円となったほか、今年1月から再開した医薬品ネット販売の日商が、再開前の約5倍で推移したという。
一方、チャネル別の売上高について見ると、自社サイトから仮想モールへの売り上げシフトの傾向がさらに進み、前期は、仮想モールの楽天支店が同14・5%増の83億8300万円、yahoo!支店が同22・0%増の13億9200万円と伸長。これに対し自社サイト売上高は、同9・9%減の47億8300万円と、50億円を割り込んだ。
これにより、10年3月期まで過半を占めていた自社サイトの売り上げ構成比(3チャネル合計)は、32・9%にまで縮小。仮想モール支店のシェア拡大傾向は数年前から見られたが、楽天が同社に資本参加した12年3月期からこの流れが顕著となり、前期(13年3月期)は、楽天支店の構成比が57・6%(yahoo!支店は9・6%)にまで拡大している状況だ。
この背景にあるのは、食品や飲料、日用雑貨などケンコーコムがメーンとする商品の価格競争と言え、ネット販売では、送料が無料となる商品購入金額ラインの設定で各社がしのぎを削る。
この結果、生じるのが購入単価の下落だ。ケンコーコムでも以前3990円だった送料無料ラインを1980円にまで引き下げているが、購入単価が年々下落傾向をたどり、前期は同3・6%減の3624円となった。
購入単価が下落する中、売り上げを維持・拡大するためには、出荷件数によるカバーが不可欠になるが、昨今では食品や日用雑貨を扱う競合サイトが増加。このため自社サイトだけではなく、親会社である楽天との連携も含め、集客力のある仮想モールの活用にも力を入れているようだ。
また、購入単価の下落によるもうひとつの課題は収益性の悪化。これはケンコーコムが以前から抱える頭痛の種だが、前第4四半期で粗利益率が31・4%と前年同期(12年3月期4Q)よりも0・9ポイント下落するなど厳しい状況が続く。
これに対して同社でも、物流コストの削減やカード決済事業者の見直しによる決済手数料負担の軽減などに取り組んでいるが、今後、リテール事業の構造改革を進め、低購入単価でも収益の取れる抜本的な体制作りに取り組む構えだ。