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農林水産省  介護食品、認知度などに課題、普及策検討の会合設置

2013年 4月 4日 10:27

農林水産省は、医療関係者や食品流閏事業者、メーカーなどで構成する「これからの介護食品をめぐる論点整理の会」(論点整理の会)を設置し、介護食品の普及に向けた方策の検討作業を進めている。介護食品は大きく医療機関や介護施設向けの業務用と市販用に分けられるが、市販向けでメーンとなっているのが実は通販。介護食品自体の認知度の問題などから、通販の利用は介護食品を必要とする人の一部にとどまっているようだが、論点整理の会での議論が通販の利用拡大につながる可能性もありそうだ。

民間調査によると、2011年における介護食品の市場規模は1036億円(見込み)で約8割が業務用。20年後には1577億円になるとの予測も出されているが、要介護者の人数などをもとにした介護食品ニーズの試算は約2兆5000億円で、実際の市場規模とニーズの間に大きな乖離が生じているという。

 この背景にあるのは、介護食品の認知度やイメージの問題。

 この点では、幅広い客層が来店するドラッグストアやスーパーなど有店舗での市販向け商品の展開がポイントのひとつと言える。だが、事業者側も高齢化の進展などから介護食品にニーズがあることは分かっていながらも、常設的な売場が作れないというのが実情だったようだ。

 その理由としてまず挙げられるのは、介護食品自体の認知度がまだ低いことや介護食品というネーミングのイメージの問題。また、商品を購入した際、家族に要介護者のいることが分かってしまうことに抵抗感を持つ人が少なくないこともある。

 さらに、介護食品の規格や表示などは団体やメーカーによって様々で、小売事業者からすると統一的なイメージの売場を作りにくく、実際の商品の売れ行きから売場を維持するのが難しいわけだ。

 そのため、現状は通販が市販向け介護食品の主な販売チャネルになっているが、介護食品を必要とする消費者の多くは、購入場所が分からないというのが実情のようで、通販を利用している人もまだ一握りと見られる。

 論点整理の会では、こうした実際の市場規模と潜在ニーズとのギャップの解消に向けた介護食品の普及策などを検討するもので、これまで2回の会合を開催。各委員から介護食品に関する問題点などが挙げられており、今後、食味や見た目の改善など高齢者の食をめぐる状況に応じた介護食品の対応策や、消費者に受け入れられやすいネーミングなど介護食品を利用しやすくするための取り組み、認知度向上・普及策などを論点に検討が進められる見込みだ。

 整理の会を通じ、介護食の統一的な規格や普及策ができれば、通販の利用拡大も期待できるが、農水省によると、論点整理の会の役割は、問題点の洗い出しまで。規格の統一化など制度整備が必要となった場合には、「別の検討会を設けて検討することになる」(食品製造卸売課)という。

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