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セレクトスクエア・属社長に高島屋との提携の狙いを聞く(上)「衣料品ECの同質化危惧」

2012年 8月23日 17:27

4men.JPG ファッションEC専業のセレクトスクエアは6月下旬、高島屋と業務・資本提携を結んで業界の注目を集めた。高島屋グループの一員となる決断をしたセレクトスクエアの属(さっか)社長に、提携の狙いなどを聞いた。(聞き手は本紙記者・神崎郁夫)

 ――資本提携まで踏み込んだ理由は。

 「業務提携とは一般的に利益を二分するもので、目の前の利益を取り合うもの。そうではなく、中長期的に見て、本気で取り組んでくれるパートナーと組みたかった」

 ――衣料品のECは成長局面にある。

 「ファッション分野のネット販売は伸びているものの、一方で同質化しつつある。異なる事業アセットを組み合わせなければ、目新しいサービスは提供できない。変化のスピードが速い世の中にあって、当社だけの成長で対応していくには時間がかかると判断した」

 ――何から着手する。

 「顧客資産、品ぞろえ、ショッピングエンターテイメントとしての売り場、情報システム、物流システム、人的リソースという6つの側面を早急に組み立て直し、すでに始まってきている(店舗とECなどとの境い目がない)オムニチャネルの時代に対応していく」

 ――競合との差別化策は。

 「当社は5年前に丸紅から独立した際、『21世紀のライフスタイルチャネルになる』こと、『日本的洗練を輸出するプラットフォームとなる』ことという理念を掲げた」

 ――ライフスタイルチャネルとは。

 「抽象的だが、そこに行くと豊かな生活があるということ。20世紀のライフスタイルチャネルは70~80年代の百貨店そのもの。屋上には遊園地、食堂にはお子様ランチとクリームソーダがあり、みんながウキウキして出かけた20世紀版ライフスタイルチャネルがあった。現代に舞台を移して百貨店を再発明したい」

 ――今回の提携が"再発明"に近づくと。

 「近年、SPA業態が伸びてきたが、これはメーカーと小売の融合。今後はこれにメディアと流通の機能が一緒になる。オムニチャネルの時代には4つの機能を持たないといけない。これをネット専業が単独で実現するのは難しいと判断した」

 ――グループ全体で取り組むべきことは。

 「顧客データベースの一元化と商品の単品管理だが、この2つはECではやっている。さらに、ショッピングエンターテイメントの創造と、ITの入った売り場、販売員を含めた演出力が必要。百貨店が仕掛けでいっぱいの"シアター"になれば、21世紀型のライフスタイルチャネルになれる。シアター(百貨店)に行くとエンタメがあり、商品を通じた豊かさがあり、重たい商品を持ち帰る必要もなくなる。この一翼を担いたい」(つづく)
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