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――資本提携まで踏み込んだ理由は。
「業務提携とは一般的に利益を二分するもので、目の前の利益を取り合うもの。そうではなく、中長期的に見て、本気で取り組んでくれるパートナーと組みたかった」
――衣料品のECは成長局面にある。
「ファッション分野のネット販売は伸びているものの、一方で同質化しつつある。異なる事業アセットを組み合わせなければ、目新しいサービスは提供できない。変化のスピードが速い世の中にあって、当社だけの成長で対応していくには時間がかかると判断した」
――何から着手する。
「顧客資産、品ぞろえ、ショッピングエンターテイメントとしての売り場、情報システム、物流システム、人的リソースという6つの側面を早急に組み立て直し、すでに始まってきている(店舗とECなどとの境い目がない)オムニチャネルの時代に対応していく」
――競合との差別化策は。
「当社は5年前に丸紅から独立した際、『21世紀のライフスタイルチャネルになる』こと、『日本的洗練を輸出するプラットフォームとなる』ことという理念を掲げた」
――ライフスタイルチャネルとは。
「抽象的だが、そこに行くと豊かな生活があるということ。20世紀のライフスタイルチャネルは70~80年代の百貨店そのもの。屋上には遊園地、食堂にはお子様ランチとクリームソーダがあり、みんながウキウキして出かけた20世紀版ライフスタイルチャネルがあった。現代に舞台を移して百貨店を再発明したい」
――今回の提携が"再発明"に近づくと。
「近年、SPA業態が伸びてきたが、これはメーカーと小売の融合。今後はこれにメディアと流通の機能が一緒になる。オムニチャネルの時代には4つの機能を持たないといけない。これをネット専業が単独で実現するのは難しいと判断した」
――グループ全体で取り組むべきことは。
「顧客データベースの一元化と商品の単品管理だが、この2つはECではやっている。さらに、ショッピングエンターテイメントの創造と、ITの入った売り場、販売員を含めた演出力が必要。百貨店が仕掛けでいっぱいの"シアター"になれば、21世紀型のライフスタイルチャネルになれる。シアター(百貨店)に行くとエンタメがあり、商品を通じた豊かさがあり、重たい商品を持ち帰る必要もなくなる。この一翼を担いたい」(つづく)