ニュースの断層・7&iHD ネット販売、成長戦略軸に、〝勝ち組連合〟を構想
12月7日、「セブンネットショッピング」を開設し、グループとしてのネット販売の取り組みを本格化させたセブン&アイ・ホールディングス(7&iHD)。ネット販売を今後のグループ成長戦略の主軸に位置付け取り組みで、既存の経営資産である有店舗とネットを融合した展開手法の確立を目指すとともに、ネットを軸にコンテンツホルダー等とのアライアンスを強化していくという。有力小売事業者にとっても、ネット販売は看過できないチャネルとなっており、今回の取り組みに掛ける意気込みは強い。
7日に開設した「セブンネットショッピング」は、セブンアンドワイやイトーヨーカ堂の通販サイトを統合した、いわばグループの基幹となる通販サイトで、運営は書籍やDVDのネット販売で実績を持つセブンアンドワイ(12月7日付でセブンネットショッピングに社名変更)が担当する。
サイトについては、書籍やDVD、雑貨、食品など11カテゴリー・500万アイテムを扱う「ショッピング」と「こだわり専門店」で構成。
このうち「こだわり専門店」については、既に32の専門店が出店しているが、「スタジオジブリ」「avex SHOP」など、強いコンテンツを持つショップが名を連ねる。この背景にあるのは、やはり7&iHDの販売力や商品開発力の高さなどに対する期待感だろう。
「こだわり専門店」への出店業者としては、まず「セブンネットショッピング」での売り上げの獲得を目指すことになるが、7&iHDが百貨店やGMS、コンビニなど多様な業態を持っており、幅広い客層へのアプローチが期待でき、7&iHD側との商品共同開発、あるいはグループ店舗での商品販売など展開の拡大の可能性も出てくる。無論、7&iHD側としても、有力なコンテンツホルダーの取り込みにより、ネット販売とリアル店舗双方での差別化につながるわけだ。
こうした点については、7&iHDでも、既に「流通クラウドプラットポータル」という構想を打ち出している。
これは、7&iHDグループの商品開発力や販売力と取引先が持つ商品やサービス、技術などの経営資産を互いに共有し、新たな価値を創造するというもので、メディア、コンテンツ、メーカー、店舗の各分野で取り組みを進める方針だ。
実際、メディア分野では提携関係にあるヤフーとの取り組みを行うほか、出版社やDVDメーカー、プロダクション等との連携を強化する意向で、「こだわり専門店」に出店するavexとコンテンツ制作を行うことも視野に入れる。また、ネットでのテストマーケティングや予約販売など、新たな販売機会の提供を通じたメーカーとの関係性強化、「セブンネットショッピング」で収集した顧客属性情報等のグループ各社での共有も進める考えだ。一方、今回の取り組みでは、リアル店舗とネットを融合したモデルの構築を標ぼうしているが、この点でも強みを持つ。商品の受け渡し・決済の主戦場となるコンビニを見ても、「セブン―イレブン」は、全国37都道府県で約1万2,500店舗(09年11月末現在)を展開するが、酒類や加工食品等のネット販売「セブン―イレブンネット」の展開を通じ、加盟店側のオペレーションはこなれており、ネット販売に対する意識も高いはず。ネット販売での商品の受け渡しや決済などに不安を感じる顧客も少なくないが、既に店頭で質の高いサービスを提供できる素地はあると見ていいだろう。
既に他の大手流通企業でもネットの取り組みに力を入れているが、依然、店舗の補完的な位置付けから脱し切れていない観もある。「セブンネットショッピング」に関し2012年に売上高1,000億円を計画する7&iHD。ネットをグループ成長戦略の主軸に据え、既存の経営資産を絡めながら新たな流通の勝ち組連合を作っていくという戦略は、他の有力流通業者にインパクトを与えることにもなりそうだ。
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7日に開設した「セブンネットショッピング」は、セブンアンドワイやイトーヨーカ堂の通販サイトを統合した、いわばグループの基幹となる通販サイトで、運営は書籍やDVDのネット販売で実績を持つセブンアンドワイ(12月7日付でセブンネットショッピングに社名変更)が担当する。
サイトについては、書籍やDVD、雑貨、食品など11カテゴリー・500万アイテムを扱う「ショッピング」と「こだわり専門店」で構成。
このうち「こだわり専門店」については、既に32の専門店が出店しているが、「スタジオジブリ」「avex SHOP」など、強いコンテンツを持つショップが名を連ねる。この背景にあるのは、やはり7&iHDの販売力や商品開発力の高さなどに対する期待感だろう。
「こだわり専門店」への出店業者としては、まず「セブンネットショッピング」での売り上げの獲得を目指すことになるが、7&iHDが百貨店やGMS、コンビニなど多様な業態を持っており、幅広い客層へのアプローチが期待でき、7&iHD側との商品共同開発、あるいはグループ店舗での商品販売など展開の拡大の可能性も出てくる。無論、7&iHD側としても、有力なコンテンツホルダーの取り込みにより、ネット販売とリアル店舗双方での差別化につながるわけだ。
こうした点については、7&iHDでも、既に「流通クラウドプラットポータル」という構想を打ち出している。
これは、7&iHDグループの商品開発力や販売力と取引先が持つ商品やサービス、技術などの経営資産を互いに共有し、新たな価値を創造するというもので、メディア、コンテンツ、メーカー、店舗の各分野で取り組みを進める方針だ。
実際、メディア分野では提携関係にあるヤフーとの取り組みを行うほか、出版社やDVDメーカー、プロダクション等との連携を強化する意向で、「こだわり専門店」に出店するavexとコンテンツ制作を行うことも視野に入れる。また、ネットでのテストマーケティングや予約販売など、新たな販売機会の提供を通じたメーカーとの関係性強化、「セブンネットショッピング」で収集した顧客属性情報等のグループ各社での共有も進める考えだ。一方、今回の取り組みでは、リアル店舗とネットを融合したモデルの構築を標ぼうしているが、この点でも強みを持つ。商品の受け渡し・決済の主戦場となるコンビニを見ても、「セブン―イレブン」は、全国37都道府県で約1万2,500店舗(09年11月末現在)を展開するが、酒類や加工食品等のネット販売「セブン―イレブンネット」の展開を通じ、加盟店側のオペレーションはこなれており、ネット販売に対する意識も高いはず。ネット販売での商品の受け渡しや決済などに不安を感じる顧客も少なくないが、既に店頭で質の高いサービスを提供できる素地はあると見ていいだろう。
既に他の大手流通企業でもネットの取り組みに力を入れているが、依然、店舗の補完的な位置付けから脱し切れていない観もある。「セブンネットショッピング」に関し2012年に売上高1,000億円を計画する7&iHD。ネットをグループ成長戦略の主軸に据え、既存の経営資産を絡めながら新たな流通の勝ち組連合を作っていくという戦略は、他の有力流通業者にインパクトを与えることにもなりそうだ。