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東急ハンズ、ネット売上高を店舗に計上――ポイントも統合、通販売上高倍増へ

2012年 4月26日 19:39

03.jpg東急ハンズがネット販売の強化を進めている。2012年3月期の売上高は、前期比では20%以上増えて8億円超に。昨年7月に楽天市場に再出店して販路を増やしたことが奏功した。また、前期にはネット販売で売れた商品を同社新宿店から発送するように変更。さらに今期からは、ハンズの会員通販サイトを利用した際、1年以内に店舗で買い物をした履歴があった場合は、該当店舗に売り上げを計上する形とする。店頭でも通販サイトをアピールしやすい体制とすることで、早期に通販売上高を2倍にしたい考えだ。

 同社のネット販売事業の売上高は、全社売上高の1%程度。知名度アップに向けて、ハンズネットをまだ知らない同社の顧客にも店頭に置いたチラシなどでアピールしていきたい考えだが、「店舗側からすると通販サイトに顧客が流れてしまうことになり、メリットが感じられない」(長谷川秀樹ITコマース部長)ことがネックとなっていた。

 そこで、前期から通販サイトで売れた商品は新宿店の在庫からピッキングし、発送するようにした。売り上げは新宿店に計上される形だ。さらに今期からは、通販サイトで買い物をしたハンズ会員が、1年以内に店舗で買い物していた場合、該当店舗に売り上げをつけるようにする。より店舗に協力してもらいやすい体制とするわけだ。

 今春には店舗とネットのポイントシステムも統合。ただ、長谷川部長は「ネットだけを伸ばすというよりは、店舗の後方支援部隊と位置づけて双方の売り上げを増やしたい」と語る。例えば、店舗で在庫切れ商品のリクエストがあった場合、店舗間の商品移動にネット販売の仕組みを活用する。

 店員が新宿店の在庫をその場で確認、自店舗に配送して取り置き、もしくは顧客の自宅にそのまま配送するわけだが、仮に注文単体では赤字が出たとしても、顧客からの信頼が得られれば、付加価値を高めるサービスと位置づけられる。さらに、自宅へ商品を配送する際にネット販売をアピールできれば、次回は通販サイトを利用してくれる可能性も出てくるわけだ。

 同社では、07年に不採算だった仮想モールの店舗を一時閉鎖。ただ、現在は楽天市場とヤフー!ショッピングに出店している。長谷川部長は「店舗を増やすたびにコストが急増するなら出店しない方がいいが、APIを活用すればそこまでかからない」と話す。店舗周辺地域に住む顧客の多い自社通販サイト「ハンズネット」に比べ、出店しない地域の顧客が多いのが特徴だという。

 同社の場合、取り扱う商品はナショナルブランド(NB)で値引きも基本的には行わない。「ハンズのバイヤーがおすすめする」ことがブランドとなっているわけだが、今後は店と統合したポイントのお得感も打ち出していく。

 NBを扱う小売店の場合、値引きのほか、送料無料や当日配達といったサービス競争が加熱しがちだ。長谷川部長は「利便性追求はもちろん重要だが、もっと利用者に楽しんで商品を選んでもらえるスタイルを追求していきたい」と話す。

 同社ではSNSを積極的に活用しているが、ツイッターでは欲しい商品をツイートすると、適した商品と在庫状況を返してくれる、「コレカモネット」という人気サービスを展開しており、近日中にはフェイスブックでも同サービスを応用したアプリを投入する。こうした取り組みを続けることで、ハンズならではのネット販売スタイルを確立したい考えだ。

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