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高島屋、ネット販売で業績けん引――店頭客の取り込み加速

2012年 4月19日 17:51

 高島屋のクロスメディア事業部は、ネット販売を成長のけん引役として強化する。店頭客のオンライン化を促進するほか、MD面では実店舗との在庫連動やネット専任バイヤーによる商材開発で自家需要を取り込む。

 同社の12年2月期のオンライン会員は68万人で、前年から約13万人増えた。今期もほぼ同水準の新規会員を獲得して80万人を目指すが、その上でカギとなるのが百貨店の店頭客だ。

 というのも、同社の通販サイト利用者のうちハウスカードで決済する会員は4割を占めるが、カード番号を含めたマイページ登録まで済ましている顧客は2割にとどまっている。当面はこれを6割まで伸ばしたい考えで、店頭で行っているカード会員へのポイントアップなどの優待特典をネット販売にも適用するためにシステム開発を行う。

 さらに、カード会員向けのクローズドサイトを用意。9月以降、当該顧客のマイページに専用ページを表示するようにし、酒類などの限定品や値ごろな商品も提供することで特別感を演出する。

 高島屋では、百貨店友の会組織の積立金も通販で利用できる体制を目指すが、店頭利用が前提の友の会カードだけに、セキュリティー面を考慮して慎重に進める計画だ。

 また、店舗の顧客情報システムと連携して通販客の店頭購入履歴を分析。個別のアプローチを図るとともに、ネット向きの商材開発につなげる。

 現状、同社のネット利用者の5割が30~40代の女性。50代以上が主要顧客で、若い層の獲得が課題の百貨店店頭にも次世代顧客を送客する役割を担い、全社で顧客のファン化を図る。

 MD面では、主力の儀礼ギフトだけでなく、自家需要の取り込みを推進する目的で、店頭では手に入らない商材も含めパーソナルギフトの開発を強化する。すでにフェイスブックで誕生日プレゼントなどを提案することで、ヒット商品も生まれてきているという。

 一方、横浜店や大阪店といった大型店舗を複数展開する強みを最大限に生かす。4月時点で約90ブランドを取り扱うコスメについては今後、160ブランドを目指して店頭との在庫連動でスケールメリットを追求。課題のファッション分野では百貨店MD本部との連携で商品の奥行きを確保できる体制を急ぐ。

 デパ地下商材についても百貨店の優位性を発揮したい考えで、クール配送を視野に入れた商材開発を加速するという。

 SNS活用については、フェイスブックでは地方の産品を含め、全般的な情報を発信する。一方で、開設したばかりのミクシィページではコスメ、スイーツに特化するなど、利用者の属性を考慮して使い分ける。
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