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楽天 ネット販売の人材紹介業開始、出店企業の人材不足解消へ

2009年12月11日 16:43

 楽天は12月3日、ネット販売に特化した人材紹介事業を始めた。「楽天市場」に出店する店舗などに向けて、ウェブデザインや商品の受発注業務など通販サイトを運営するのに必要な人材を紹介することで通販企業の成長を後押しする。同社では、ネット販売専門の人材紹介サービスを足掛かりにし、第二フェーズではグループと提携するホテルやゴルフ場向けにもIT知識者を送り出す計画で、最終的には幅広い人材紹介ビジネスに拡大させたい考えだ。

 新サービスの「楽天仕事紹介」は、企業の求人依頼と求職者の登録を受け付け、両者のマッチングを行う。求職者には無料でサービスを提供し、求人企業から紹介手数料を受け取る仕組み。

 具体的には、専用のウェブページに企業が募集する職種や雇用条件などを、求職者は希望職種や経歴などを記入してエントリーする。登録データをもとに、両者の条件に見合う相手を推薦する。求職者は、検索機能を活用して自身で企業を探すこともできる。

 契約に結びついた場合、求職者には楽天グループのサイトで使える「楽天キャッシュ」5万円分を付与することで、登録を促進する。

 楽天によると、地方のネット販売企業などは人材を募集しても求職者が集まらないケースがあり、ネット販売専門の求人ニーズが高いと判断。一企業では採用できなくても、楽天の知名度で人材を確保できるのが強みとする。

 同社では新サービスの事業化に当たり、運営主体となる楽天仕事紹介(同、小林正忠社長)を今年9月15日に設立し、12月1日に厚生労働省から有料職業紹介事業者の許可を取得している。

 「今回の新事業は、適材を適所に紹介するサービス。売り上げなどの数値目標は設けず、当面はマッチング精度の向上に努める」(小林正忠常務兼楽天仕事紹介社長)とする。

 ただ、同サービスのベースとなる求職者の確保について、現状では楽天グループ会員へのメール配信などによる告知に限られており、実際にどれくらいの登録者を集められるかは未知数だ。

 一般的に離職者が少ないとされる12月にサービスを開始したこともあり、実際にマッチング案件が出てくるのには時間がかかりそうだ。

 楽天では昨年5月、「楽天市場」の出店企業向けに「楽天物流サービス」を開始するなど、店舗の売り上げ拡大を側面から支援する事業を強化している。ただし、物流支援サービスについては自社で倉庫などは持たず、物流企業と提携してそのアセットなどをベースに展開しているのが現状とみられる。

 今回の人材紹介事業は、企業買収や事業提携の形をとらず、新会社を立ち上げるという"ゼロ"からのスタート。まずは「楽天市場」の店舗向けで実績を積み上げ、その後は旅行サイトの「楽天トラベル」や、ゴルフ場予約サイト「楽天GORA」の顧客企業向けにも水平展開して規模拡大を図る構想だけに、第一フェーズでの取り組みに注目したいところだ。

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