有力各社次の一手(上) 千趣会、ネット軸に通販伸長――中計達成に手応え
千趣会の2011年12月期決算における通販事業の売上高は、前期比4・3%増の1128億7900万円だった。同事業で特に目を引くのは、インターネット売り上げの伸長だ。
前期のネット売上高は11・2%増の726億円。ネット受注比率は64・8%と6ポイント上昇した。このうち純ネット売上高は、前期比25・5%増の547億円。金額ベースで、前期比111億円増加した。
この背景にあるのは、ユーザビリティの向上を主眼に、昨年4月に実施した「ベルメゾンネット」のリニューアルのほか、ネット専用商品の開発強化や動画ショッピングサイトの開設などの取り組み。ブランド認知度向上策として行ったクロスメディアプロモーションで、昨年春と秋に投入したテレビCMからのネット誘導効果もあったようだ。
このほかにスマートフォン対応で、カタログの注文番号検索やセール情報配信などのアプリを投入。具体的な数値は公表していないが、スマホからの受注も拡大傾向にあるという。
また、カタログを含めた通販事業全体としては、送料無料キャンペーンなどの実施により、1回当たりの受注金額が1万985円と同285円下落したが、クロスメディアプロモーションの展開により、新規会員数が74万2000人と前期比で6万8000人増加。年間購入者数も同9万5000人増の375万6000人となった。
他の主な事業分野では、頒布会事業の売上高が100億6700万円。前期比8・3%の減収だったが、「骨盤キュッ!とショーツ」(販売数量14万枚)など、従来以上にヒット商品が誕生。全体の会員数としては伸び悩んだが、「ベルメゾン」会員へのDMなどの送付により、頒布会パーソナル会員が13万4000人と1万6000人増加した。
また、ブライダル事業は、東日本大震災での一部店舗の被災、結婚式の予約キャンセルなど、マイナス要因があったが、新店効果(期中1店増の13店)や挙式単価の上昇などで売上高が前期比3・2増の84億700万円と、予想以上のスピードで回復。今期は100億円の大台突破を目指す。
一方、前期の連結業績は、売上高が前期比0・3%増の1372億6100万円、営業利益が同9・2%減の31億700万円、経常利益が同2・1%増の32億3300万円、当期純利益が同22・3%減の15億8300万円。
利益面については、原材料費の高騰や中国からの仕入コスト増加、営業利益はバーゲンの増加による売上原価率の上昇など、当期純利益は投資有価証券評価損や震災関連コストの発生などで、それぞれ減益となった。
前期初めに公表した業績予想との比較では、売上高がほぼ同等の水準だったほか、営業利益および経常利益が当初予想をクリア。唯一、当期純利益が予想を大幅に下回る結果となったが、イレギュラーな要因によるところが大きく、営業成績について田邉道夫社長は、「目論見通りになった」とする。
法人事業で、大手テレビ通販事業者の物流業務受託契約終了による約30億円の減収要因があるなど、千趣会としてはビハインドを背負った1年だったが、3カ年中期経営計画の1年目にあたる前期の堅調な結果に、今後の手応えを感じているようだ。(つづく)
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前期のネット売上高は11・2%増の726億円。ネット受注比率は64・8%と6ポイント上昇した。このうち純ネット売上高は、前期比25・5%増の547億円。金額ベースで、前期比111億円増加した。
この背景にあるのは、ユーザビリティの向上を主眼に、昨年4月に実施した「ベルメゾンネット」のリニューアルのほか、ネット専用商品の開発強化や動画ショッピングサイトの開設などの取り組み。ブランド認知度向上策として行ったクロスメディアプロモーションで、昨年春と秋に投入したテレビCMからのネット誘導効果もあったようだ。
このほかにスマートフォン対応で、カタログの注文番号検索やセール情報配信などのアプリを投入。具体的な数値は公表していないが、スマホからの受注も拡大傾向にあるという。
また、カタログを含めた通販事業全体としては、送料無料キャンペーンなどの実施により、1回当たりの受注金額が1万985円と同285円下落したが、クロスメディアプロモーションの展開により、新規会員数が74万2000人と前期比で6万8000人増加。年間購入者数も同9万5000人増の375万6000人となった。
他の主な事業分野では、頒布会事業の売上高が100億6700万円。前期比8・3%の減収だったが、「骨盤キュッ!とショーツ」(販売数量14万枚)など、従来以上にヒット商品が誕生。全体の会員数としては伸び悩んだが、「ベルメゾン」会員へのDMなどの送付により、頒布会パーソナル会員が13万4000人と1万6000人増加した。
また、ブライダル事業は、東日本大震災での一部店舗の被災、結婚式の予約キャンセルなど、マイナス要因があったが、新店効果(期中1店増の13店)や挙式単価の上昇などで売上高が前期比3・2増の84億700万円と、予想以上のスピードで回復。今期は100億円の大台突破を目指す。
一方、前期の連結業績は、売上高が前期比0・3%増の1372億6100万円、営業利益が同9・2%減の31億700万円、経常利益が同2・1%増の32億3300万円、当期純利益が同22・3%減の15億8300万円。
利益面については、原材料費の高騰や中国からの仕入コスト増加、営業利益はバーゲンの増加による売上原価率の上昇など、当期純利益は投資有価証券評価損や震災関連コストの発生などで、それぞれ減益となった。
前期初めに公表した業績予想との比較では、売上高がほぼ同等の水準だったほか、営業利益および経常利益が当初予想をクリア。唯一、当期純利益が予想を大幅に下回る結果となったが、イレギュラーな要因によるところが大きく、営業成績について田邉道夫社長は、「目論見通りになった」とする。
法人事業で、大手テレビ通販事業者の物流業務受託契約終了による約30億円の減収要因があるなど、千趣会としてはビハインドを背負った1年だったが、3カ年中期経営計画の1年目にあたる前期の堅調な結果に、今後の手応えを感じているようだ。(つづく)