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YouTubeの"見たい人だけ"広告が好調、オークローンなどが活用

2012年 2月16日 14:07

グーグル.JPG一昨年末から米グーグルが始め、日本でも昨年3月から試験運用が開始され、通販実施企業なども積極的に活用し効果を上げていると言う動画共有サイト「ユーチューブ」内の新形態の動画広告「TrueView(トゥルビュー)動画広告」。このたび来日した米グーグルのYouTubeシニアプロダクトマネージャーのバルジート・シン氏(写真)が記者説明会で同広告の特徴や現状について語った。(内容の一部を抜粋および要約)

 「トゥルビュー」は2010年12月からユーチューブの動画広告としてスタートした。特徴は従来のように投稿動画の前に動画広告を流し、強制的に広告を見せるのではなく、最初の5秒間、動画広告が流れた後に、広告を「スキップ」できる機能を設けたこと。これにより、広告を見たくなければ視聴者はスキップでき、広告主には視聴者がスキップせずに動画広告を最後まで見た場合にのみ、課金する仕組みとした。
 
 なお、「トゥルビュー」には先に説明した5秒間後に広告をスキップできる「インストリーム」のほか、「インサーチ」「インディスプレイ」、日本ではローンチしていない「インスレート」などの種類がある。共通点は、視聴者が主体的に広告を見た場合にのみ、広告主に対して課金を行う仕組みだということだ。

 広告主の中には「視聴者は皆、広告をスキップするのではないか」と懸念する方もいると思うが、実際には「スキップせずに最後まで広告を見る人」の割合は15~45%だ。年齢や性別、広告を載せる投稿動画コンテンツの種類、検索キーワードなど特定の属性に絞って広告を表示させることができる仕組みを広告主に提供していることもあり、当該広告との関連性の高い視聴者に広告を見せることができること。加えて、皮肉なことだが、「広告をスキップできる」という選択肢を視聴者に与えることで、かえって広告を閲覧する割合を高めていることもあるようだ。
 
 この「トゥルビュー」のメリットは視聴者には自分に興味がない広告の場合はスキップでき、動画視聴を邪魔しないこと。広告主には広告に関心のない人はスキップするので広告費は課金されず、また、それにより「どの広告が効果を発揮しどれが発揮していないか」という点が把握できるようになり、どういう広告に人気があるのか把握できること。ユーチューブに動画を投稿するコンテンツ保有者は、投稿動画の前に強制的に広告を見せれば動画の閲覧自体をやめてしまう「ドロップオフ率」が高まるため、従来はより多くの視聴者を獲得するか、広告を見せて報酬を得るかのどちらかを選ばざるを得なかった。しかし、この「トゥルビュー」は従来の(広告を強制的に表示する)プレロール型動画広告と比較すると、ドロップオフ率が40%低い。つまり、これまで難しかった動画広告で収入を得つつ、視聴者も拡大していけるようになった。視聴者も広告主もコンテンツ保有者も3者が成功するウィンウィンのモデルだ。

 こうした利点から「トゥルビュー」は人気が高く、スタート時から毎四半期、需要が倍増し続けている。そして現状ではユーチューブの動画広告のうち、6割が「トゥルビュー」となっている。

 (昨年3月から試験運用を始めた)日本でも名古屋のデリバリーピザチェーンの「アオキーズピザ」や家電の通販サイト「いーでじ」を運営する家電量販店の「ノジマ」、テレビ通販の「オークローンマーケティング」などがテレビCMで使用した動画を使ってうまく「トゥルビュー」を活用している。また、アメリカでは「日産リーフ」の広告が160万以上見られており成功している。

 最後に「トゥルビュー」で効果を上げるポイントだが、「広告がスキップできる前の最初の5秒間で視聴者の心を捉えるインパクトのある映像」。また、「広告の長さ」も重要で、15秒の動画広告のドロップオフ率は30秒のものと比べると半分で短い方が最後まで見てもらえる率が高い。この2つが効果を高めるためのポイントとなる。

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