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オルビスが描く成長戦略、町田恒雄社長に聞く、創業の"原点"追求

2012年 2月 9日 13:42

「革新性」高いブランド価値実現へ

オルビス(本社・東京都品川区)が"ブランド再構築"を加速させていく。ブランド再構築は2007年、高谷成夫前社長の下で会員誌の大幅な刷新に取り組むなど段階的に準備が進められてきた。今年1月に社長に就任した町田恒雄氏はこれを引き継ぎ、創業の原点である革新性の高いブランド価値の創造を目指す。競争激化する通販市場でオルビスはいかにしてそのブランド価値を際立たせ、他社を圧倒するブランドを築き上げていくのか。町田社長に聞いた。
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 まず社長就任の経緯について伺いたい。

 「オルビスは数年前まで二桁成長を維持してきたが今は踊り場を迎えている。私はポーラ在籍時に業態改革に携わらせてもらい、改革の要諦を学ばせてもらった。業態は異なるが、その経験を活かすことが与えられた役割だと考えている」

 現状の課題はどこにあると考えているのか。

 「創業時から『オイルカット』『30日間返品可能』など商品・サービス面で"革新性"を持った価値を提供してきた。ただ、ここ数年、他社との競合の中でその革新性が顧客に伝わりにくくなっていると考えている。もう一度創業の原点である革新性を持ったブランド価値をさらに成長した形で提案できるよう、2年ほどかけてブランド再構築に臨む必要がある」

 事業規模拡大の影響もあるのではないか。

 「確かに規模拡大の影響もある。成長性を追い求めることより着実な収益基盤を確保していくことが重要とも考える。ただ、価値の希薄化とは、本来、共感して頂ける顧客に正しくブランド価値が伝わらず、接点が築けていないことも意味している。それら顧客にしっかりと価値を伝えていきたい」

 ブランド再構築に臨む中でまず着手することは何か。

 「今年2月には関西に物流拠点を開設し、秋には全国で翌日配送を実現させる。また、まだ公表できる段階にはないが、商品受け取りの際の利便性を高める取り組みも夏から秋をメドに始める。ただ、(サービス面では)"誠実さ"など顧客満足で高い評価が得ている反面、商品面に踏み込むといま一つイメージが弱い。商品周りの情報やサービスは大事だが、やはり商品を通じた顧客との関係性を強固にしていかなければいけない」

 これまで若年層を中心に基盤を築いてきたが商品戦略はどう見直す。

 「若い頃にせっかく接点を築くことができた顧客が30、40代となるにつれて『卒業ブランド』になり、"オイルカットでは物足りない"と切り替えてしまうケースがある。世代特有の悩みに対応できる商品の提供が必要だ。昨年12月には(40代以降の女性を対象にした)『エクセレントエンリッチ』シリーズを発売したが、出足はほぼ狙い通りのターゲット層に購入して頂いており、徐々に継続率も高まっている」

 中高齢層の開拓にシフトしていくのか。今の顧客基盤の世代別構成と併せて教えてほしい。

 「継続率では30代後半が中心となるが、新規客は20代がボリュームゾーン。入り口はそれで良いが、40代以降のスキンケア利用率がぐっと下がっているデータもあり、明らかな価値観のズレがあるかもしれない。年齢を重ねられた時にしっかりつなぎ止めていくアプローチは必要と感じる」

 今後、50、60代以降の女性向けの商品も投入するのか。

 「"もっと自分に合うならば続けたい"という声は多くもらっている。ちょうど企画をしている段階だが、そこにはできるだけ早く応えたい」

 売上高500億円という規模は、通販市場における一つの到達ラインにも思えるが、その点はどう考えられている。

 「当然限界はあると思うが、通販、店販、海外という各チャネルの成長をバランス良く追えば、着実な成長は果たせると考えている」

 今は着手していないが、卸流通が大きな可能性を残す販売チャネルとして残っている。展開されていない理由は。

 「販路が増えるのは良いことだがその反面、統一したメッセージでブランド価値を伝えることが難しいためだ」

 多チャネル展開が認知度の向上に寄与する面もある。この点は課題となっている部分でもあると思うが。

 「もちろん接点が増えれば認知度も高まる。ただ、最大の強みは『ダイレクトセリング』であること。卸販売では顧客ニーズの把握が難しくなり、ブランド再構築で顧客ロイヤリティを高めようとしている中で得策ではないと考えている」

 中国市場における進捗状況は。

 「思うように申請が通らず、主力商品を次々と投入できる状況ではないためもともとの計画からすれば少し物足りない。ただ、成長スピードも加速しており、国内で最も売れている『クレンジングリキッド』の認可が下りたことで、これからが本格的なスタートだと考えている」


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