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石橋楽器店  ネット比率3分の1に、在庫連動を実現

2011年11月 9日 16:27

 2-1.JPG楽器店大手の石橋楽器店のネット販売が好調だ。2011年5月期の売上高は、前期比27・8%増の37億5700万円。全社売上高のほぼ3分の1に達している。11月には通販サイトを刷新した。本店用・中古品用など複数あったショッピングカートを統一し、使い勝手を向上したほか、店舗との在庫連動を実現。スマートフォン専用サイトも開設するなど、さらなる強化を進めている。
 
 同社の通販サイトでは、実店舗の商品が購入できるほか、中古品も販売している。これまでは商品情報がそれぞれ違うサーバーに保存されていたことから、ショッピングカートが別々になるなど、使い勝手が悪かった。
 
 今回の刷新では商品情報を一元化。カートを統一したほか、検索窓も一つに揃えた。新品も中古品も同じ画面で表示するようにしたことから、同社では「ついで買いを誘いやすくなったのではないか」(EC事業統括課の滝沢壮一郎次長)と期待する。
 
 同時に、楽天市場などのモールや基幹サーバーとの連携も実現。これにより、在庫連動が可能となった。特に、中古品は"一品もの"が多く、店舗で売れた場合に在庫表示への反映が遅れると、消費者からの問い合わせに対応しなければならないケースが増える。在庫連度を実現したことで「大幅に手間が減らせる」(同)という。
 
 また、スマートフォン専用サイトも導入。同社では携帯3キャリアで公式サイトを展開しているが、高額商品が多いこともあり、モバイル経由の売上高は全体の数%にとどまっている。今回のスマホ用サイトはコンテンツを自動変換するもので、モバイル売り上げの拡大につなげたい考えだ。
 
 同社の売上高に占めるネット売上高比率は、他の小売企業と比べるとかなり高い数字となっている。各店舗の在庫をネットで販売していることも伸びている理由の一つだが、「既存店の店頭での売り上げも好調だ」(同)という。
 
 関東地方など店舗のある地域では、ネットと店舗を共に活用する顧客が増えているほか、店舗のない地域でも「イシバシ楽器」のネームバリューを活かす形で売り上げを伸ばしている。楽器は専門性の高い商品だけに、不具合があった際などでも安心できる専門店に優位性があるようだ。
 
 同社は2012年にも上海に店舗を開設し、中国へ進出する。同社では「楽器人口はまだ多くないが、成長の余地は大きい」(同)と見ており、同時に中国語の通販サイトも展開したい考えだ。

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