「一応、減収の見込みですけどね」。今期(2012年3月)の業績予想についてテレビ東京の通販子会社、テレビ東京ダイレクト(TXD)の木綿克己会長はこう話す。同社の前期の総売上高は過去最高となる84・9億円(※自社通販売上高は36・9億円)と前年比で2桁成長をキープ、好調に推移した。ちなみに利益面も営業利益が3・8億円、経常利益が4・7億円とそれぞれ1億円程度の増益で6期連続で増収増益を維持している。
それが一転、今期は減収の予算だという。その主因と見られるのが、今年3月で終了した深夜の帯通販枠だ。この枠は長年、インフォマーシャルを放映してきた枠で同枠の現状の売り上げは5・6億円相当のようだ。
同枠を開始した当時は深夜の通販番組は珍しく、毎回、数千万の売り上げがとれるドル箱だったようだが、今では地上波、BS、CSとこぞってインフォマーシャルを放映している時間帯となり、効率が悪化してきたことから思い切って枠を手放したわけだ。この「5・6億円」がそっくり今年は引かれることになるため、今期の売上予算は約81億円としているようだ。
とは言え、木綿会長の冒頭のコメントの中にある「一応」という言葉の通り、あくまで予算は予算であり、今期も戦略通りにことを進めることで実際には好調に推移した前期の業績をクリアできる可能性も高いようだ。TXDの今期の通販戦略について見ていく。
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今期の通販戦略の軸となるのは、やはり平日の朝と昼の帯枠の強化。つまり「ものスタmove」と「7スタ!Bratch!(ブラッチ)」の中にある通販コーナーだ。
中でも「ものスタ」は今期、好調なスタートを切った。4月単月売上高は前年同月比で10%増と震災による消費マインドの冷え込みをものともせず業績を伸ばしている。
安眠枕「フィベールピロー」などのエース商品が順調に売り上げを伸ばしているなど要因は様々あるが、やはり1つのポイントとなったのは番組司会者の変更にあるようだ。昼の「ブラッチ」の司会者、パトリック・ハーラン氏とお笑いコンビ「パックンマックン」を組むマックンこと吉田眞氏を今年3月から総合司会に起用した。
それまでは女性5人が通販商品の紹介と番組進行をこなし、番組も放送開始から3年目を迎えてこなれてきたが、そこに「吉田氏が(総合司会に)入ったことで出演者にも安心感が出てきて自らの役割だけに集中できるようになった」(木綿会長)ことで、より商品紹介にそれぞれの出演者が力を注げるようになったのではないか、と好調要因を分析する。同枠は前年は年間11億円程度の売り上げだったが、今期はそれを上回るペースで伸長させていきたい考えだ。
もう1つのカギを握る「ブラッチ」はどうか。実は同枠に関しては現状、芳しい状況ではないようだ。今年4月から番組の放送時間が従来の昼の12時半~午後1時半ではなく、1時間前倒しとなった。加えて、番組の作りも3月までとは変更された。以前は番組本編と通販コーナーが時には密接に絡む内容だったが、4月以降は番組の方針で完全に切り離された格好となった。
「この枠で『ものスタ』くらいは売りたい」と考える木綿会長の計画を実現するため、番組の変更に対応すべく、展開商品や通販コーナーの内容を現在、精査している状況のようだ。同枠をいかに立て直し、再度、伸ばせるのか。これが今期の同社の業績を左右するポイントとなりそうで注目したいところだ。
今期はそのほか来期に予定する通販システム刷新に合わせて実施するネット販売事業の拡大策に備え、SEなどを増員するなど体制の強化を行っていくようだ。(
つづく)
それが一転、今期は減収の予算だという。その主因と見られるのが、今年3月で終了した深夜の帯通販枠だ。この枠は長年、インフォマーシャルを放映してきた枠で同枠の現状の売り上げは5・6億円相当のようだ。
同枠を開始した当時は深夜の通販番組は珍しく、毎回、数千万の売り上げがとれるドル箱だったようだが、今では地上波、BS、CSとこぞってインフォマーシャルを放映している時間帯となり、効率が悪化してきたことから思い切って枠を手放したわけだ。この「5・6億円」がそっくり今年は引かれることになるため、今期の売上予算は約81億円としているようだ。
とは言え、木綿会長の冒頭のコメントの中にある「一応」という言葉の通り、あくまで予算は予算であり、今期も戦略通りにことを進めることで実際には好調に推移した前期の業績をクリアできる可能性も高いようだ。TXDの今期の通販戦略について見ていく。
今期の通販戦略の軸となるのは、やはり平日の朝と昼の帯枠の強化。つまり「ものスタmove」と「7スタ!Bratch!(ブラッチ)」の中にある通販コーナーだ。
中でも「ものスタ」は今期、好調なスタートを切った。4月単月売上高は前年同月比で10%増と震災による消費マインドの冷え込みをものともせず業績を伸ばしている。
安眠枕「フィベールピロー」などのエース商品が順調に売り上げを伸ばしているなど要因は様々あるが、やはり1つのポイントとなったのは番組司会者の変更にあるようだ。昼の「ブラッチ」の司会者、パトリック・ハーラン氏とお笑いコンビ「パックンマックン」を組むマックンこと吉田眞氏を今年3月から総合司会に起用した。
それまでは女性5人が通販商品の紹介と番組進行をこなし、番組も放送開始から3年目を迎えてこなれてきたが、そこに「吉田氏が(総合司会に)入ったことで出演者にも安心感が出てきて自らの役割だけに集中できるようになった」(木綿会長)ことで、より商品紹介にそれぞれの出演者が力を注げるようになったのではないか、と好調要因を分析する。同枠は前年は年間11億円程度の売り上げだったが、今期はそれを上回るペースで伸長させていきたい考えだ。
もう1つのカギを握る「ブラッチ」はどうか。実は同枠に関しては現状、芳しい状況ではないようだ。今年4月から番組の放送時間が従来の昼の12時半~午後1時半ではなく、1時間前倒しとなった。加えて、番組の作りも3月までとは変更された。以前は番組本編と通販コーナーが時には密接に絡む内容だったが、4月以降は番組の方針で完全に切り離された格好となった。
「この枠で『ものスタ』くらいは売りたい」と考える木綿会長の計画を実現するため、番組の変更に対応すべく、展開商品や通販コーナーの内容を現在、精査している状況のようだ。同枠をいかに立て直し、再度、伸ばせるのか。これが今期の同社の業績を左右するポイントとなりそうで注目したいところだ。
今期はそのほか来期に予定する通販システム刷新に合わせて実施するネット販売事業の拡大策に備え、SEなどを増員するなど体制の強化を行っていくようだ。(つづく)