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その物流分野に関するプロジェクトの「オールジャパンで取り組む『物流生産性革命』の推進」は、2020年度までに物流事業の労働生産性を2割アップすることを目標としている。トラックの積載率が41%に低下していたり、宅配便の再配達の割合が2割に達しているなど、物流分野にはさまざまな非効率が発生している状況だが、このような非効率を改善し生産性を向上して将来の労働力不足を克服する必要があるためだ。
8月31日開催の3回目の会合では、13のプロジェクトの現状が報告された。物流の効率改善の最新の事例として、9月10日にスタートした東京メトロ、東武鉄道、ヤマト運輸、日本郵便、佐川急便の5社が地下鉄車両で宅配便を輸送・配送サービスのために取り組み始める実証実験、来年3月にヤマト運輸とDeNAの自動運転による宅配便のオンデマンド配送の実験計画について触れ、担当者からはドライバー不足や宅配便の再配達削減に期待できる取り組みとの説明があった。
物流関連については、「暮らし向上物流」と銘打ち、その事例として「受け取りやすい宅配便」を目指すとの目標が4月の第2回会合で既に取り上げられている。それは今後設置する宅配ロッカーは、全ての宅配便事業者が利用可能なオープン型ロッカーとすることを目標とするとされた。国土交通省が昨年6月に立ち上げた「宅配の再配達の削減に向けた受取方法の多様化の促進等に関する検討会」で3回にわたり議論したことが、宅配ロッカー事業を推進することになった。その結果、今年に入り、ヤマト運輸や日本郵便が宅配ロッカーの設置を加速している。
ただ、現状は両社の宅配ロッカーともオープン化を実現していない。それぞれの宅配便だけを取り扱うだけにとどまり、他社の宅配便を受け取ることはできない。他社の準備も必要であろうし、両社の経営戦略上の狙いもあるだろう。しかし、1年前の検討会でオープン化が有効との見解に至ったことを考慮すると、もう少し迅速に進めていくべきではないだろうか。
ネット販売市場の拡大により宅配便の物量がさらに増え、またドライバー不足も今後一層深刻化していく待ったなしの状況だ。20年度に確実に目標を達成するためには早期の対策が必要である。宅配ロッカーは各社とも20年度前後の設置目標を掲げているが、その数は合計6000台程度にも達し、実際に達成されれば宅配の再配達率は大幅に低下することは間違いないだろう。
通販顧客などの利便性向上につながる宅配ロッカーは稼働率をアップすることが事業運営において不可欠なことだ。国土交通省には宅配ロッカーオープン化の推進役としての役割をもっと発揮するべきだ。