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日用品EC巡る攻防戦の行方は

2015年10月 7日 14:27

 日用品のネット通販を巡る各社の攻防戦がし烈となってきた。これまでもGMSが運営するネットスーパーや大手仮想モール・商社のグループ会社が手がける通販サイト、そしてネット販売市場の巨人であるアマゾンなどが品ぞろえや価格面、配送サービスを競い、顧客獲得競争を繰り広げてきたがここに来て各社が大きな次の一手を打ち始めている。

 まずアマゾンが9月から食品や日用雑貨を"ばら売り"する「Amazonパントリー」を開始した。同社は今夏にも日用品の特売ページ「ヤスイイね」をスタートさせており、日用品のネット販売の強化を図っている。一方、ヤフーとアスクルが展開する日用品通販サイト「LOHACO(ロハコ)」も攻勢を強めている。今夏から使い勝手を向上させたスマートフォン用アプリ「ロハコアプリ」を投入した後、9月下旬から初のテレビCMの放映をスタート。CM経由で一気に通販サイトへの集客やアプリのダウンロード数を増やし、新規顧客開拓を進め、売上規模の拡大を図っていく狙いだ。

 一方、リアルでの日用品の販売では強大なシェアを誇るGMS大手も日用品ECの強化に向けて新たな手を打ってきている。セブン&アイ・ホールディングスは11月1日から展開するコンビニエンスストアとネット販売との連携を強化したオムニチャネルサービス「omni7(オムニセブン)」を開始すると発表し、競合のネット専業社にはない店舗網を活用した戦略を軸に日用品を含むネット販売事業を推進していく考えのようだ。DeNAと協働して運営する西友の通販サイト「SEIYUドットコム」でも9月29日から購入商品を自宅以外で受け取れる「セルフピックアップサービス」を本格化させる。首都圏で受け取りロッカーの設置店舗を拡大するほか、店頭のカウンターでの引き渡しをスタートさせる施策を進めている。

 楽天の子会社のケンコーコムは「楽天市場」内で日用品や食品を販売する「楽天24」を軸に楽天市場ユーザーを取り込んで規模拡大を加速させる。また、住友商事グループの爽快ドラッグは複数の仮想モールへの出店する多店舗出店施策を推進する。昨年11月には仮想モール「ポンパレモール」に出店。また、仮想モールでの専門店の多店化にも取り組んでおり、以前から「ヤフーショッピング」「楽天市場」で展開するペット関連商品のペット店に加え、8月中旬に飲料のドリンク店を開設するなど攻勢を強めている。

 アマゾンやGMS、仮想モール以外の勢力も日用品ECを強化し始めている。例えば家電量販店のヨドバシカメラも速配や品ぞろえ、価格面などを直実に強化。「和製アマゾン」として対アマゾンの大本命と見る向きもある。このほか、大手ドラッグストアなども今後、攻勢を強めていくと見られる。ネット販売が人々の生活に浸透したことで今後、ネットで日用品を購入する時代が当たり前になるはず。今、このジャンルのシェアを獲得できればその恩恵は計り知れない。その金脈の獲得を巡って、今後も各社が様々な施策を打っていくと見られる。日用品ECを制する事業者はどこか。注目される。

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