資生堂子会社のアユーラ、ネット販売好調
化粧品大手資生堂の子会社、アユーララボラトリーズのネット販売が好調だ。幅広い商品ラインアップからくる提案力の強さもさることながら、昨年9月に導入したポイントサービスがリピート率アップに寄与している。百貨店系化粧品ブランドの多くがポイントサービスに消極姿勢をみせる中、一歩先を行くアユーラの取り組みは、今後、通販専業企業にとっても脅威となりそうだ。
アユーラは昨年9月にポイントサービスを導入。購入金額の1%を1ポイント(1円)として付与する形でスタートさせたが、今年4月、特典を強化して年間購入金額や誕生日月にボーナスポイントを付与する「クラスサービス」を始めた。
「クラスサービス」は、年間購入金額10万円を超えるロイヤルカスタマーを基準に上位クラス(購入額10万1円以上)を設定。一方、平均購入単価が8000円前後で推移することを参考に、顧客育成を目的とした初回クラス(同1万1円~2万円)も設けた。
アユーラでは半期ごとにリピート率の調査を実施するが、サービス導入以降、41%(08年下期~09年上期)から46%(09年下期~10年上期)に伸長している。
百貨店系化粧品ブランドは、百貨店が独自のハウスカードを持つ関係上、割引特典に消極的な姿勢を示す企業がほとんど。このため各社はネット販売でも限定プロモーションやプレゼント贈呈などで集客を図っているが、新規客を獲得しても一過性のものに終わり、休眠するケースも少なくない。
アユーラの場合、割引特典に二の足を踏む各社を尻目に、通販の定石を踏んだことが奏功したといえそうだ。
さらに、アユーラの成長を後押しするのが幅広い商品ラインアップを活かした限定プロモーションの展開だ。
アユーラのコンセプトは東洋美容に基づく"癒し"。創業来、現代女性のライフスタイルの見直しを切り口として、スキンケアやベースメーク、ボディケアやヘアケア、フレグランス、お香など多岐に渡る商品を取り揃えてきた。中でも、中国の伝統的な全身マッサージ法「活沙(かっさ)」を取り入れたマッサージ用品「ビカッサプレート」や入浴剤「メディテーションバス」が特徴的な商品だ。
アユーラでは、これら商品を活かし、新商品発売や定番商品の再喚起、人気商品の提案を目的に限定キットを展開。当初は年6回程度企画していたが、今年に入り、徐々に企画のスパンは短くなっているという。
また、職場のランチタイムなど時間帯を区切りプレゼントを贈呈するタイムキャンペーンなどの試みも実施。常に顧客に飽きを感じさせないよう工夫している。
現在、アユーラのネット登録会員は約5万人。ネット経由の売上高は構成比15%前後で推移する。ただ、メールニュースの配信を含めれば約12万人の会員を抱えており、成長になお余力を残している。「店頭に行く顧客もゼロではないが、登録会員の動向をみるとサイト利用客と店舗利用客の多くは重ならない」(高山奈保美マーケティング部部長)としており、ネット上で顧客と接点が拡大していることは通販専業企業にとっても脅威になりうる。
今上期(11年3月期)のモバイルの伸長率は前年同期比30%増、PCは同15%増。数年のうちにネット経由の売上高を18~20%程度にまで高める考えだ。
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アユーラは昨年9月にポイントサービスを導入。購入金額の1%を1ポイント(1円)として付与する形でスタートさせたが、今年4月、特典を強化して年間購入金額や誕生日月にボーナスポイントを付与する「クラスサービス」を始めた。
「クラスサービス」は、年間購入金額10万円を超えるロイヤルカスタマーを基準に上位クラス(購入額10万1円以上)を設定。一方、平均購入単価が8000円前後で推移することを参考に、顧客育成を目的とした初回クラス(同1万1円~2万円)も設けた。
アユーラでは半期ごとにリピート率の調査を実施するが、サービス導入以降、41%(08年下期~09年上期)から46%(09年下期~10年上期)に伸長している。
百貨店系化粧品ブランドは、百貨店が独自のハウスカードを持つ関係上、割引特典に消極的な姿勢を示す企業がほとんど。このため各社はネット販売でも限定プロモーションやプレゼント贈呈などで集客を図っているが、新規客を獲得しても一過性のものに終わり、休眠するケースも少なくない。
アユーラの場合、割引特典に二の足を踏む各社を尻目に、通販の定石を踏んだことが奏功したといえそうだ。
さらに、アユーラの成長を後押しするのが幅広い商品ラインアップを活かした限定プロモーションの展開だ。
アユーラのコンセプトは東洋美容に基づく"癒し"。創業来、現代女性のライフスタイルの見直しを切り口として、スキンケアやベースメーク、ボディケアやヘアケア、フレグランス、お香など多岐に渡る商品を取り揃えてきた。中でも、中国の伝統的な全身マッサージ法「活沙(かっさ)」を取り入れたマッサージ用品「ビカッサプレート」や入浴剤「メディテーションバス」が特徴的な商品だ。
アユーラでは、これら商品を活かし、新商品発売や定番商品の再喚起、人気商品の提案を目的に限定キットを展開。当初は年6回程度企画していたが、今年に入り、徐々に企画のスパンは短くなっているという。
また、職場のランチタイムなど時間帯を区切りプレゼントを贈呈するタイムキャンペーンなどの試みも実施。常に顧客に飽きを感じさせないよう工夫している。
現在、アユーラのネット登録会員は約5万人。ネット経由の売上高は構成比15%前後で推移する。ただ、メールニュースの配信を含めれば約12万人の会員を抱えており、成長になお余力を残している。「店頭に行く顧客もゼロではないが、登録会員の動向をみるとサイト利用客と店舗利用客の多くは重ならない」(高山奈保美マーケティング部部長)としており、ネット上で顧客と接点が拡大していることは通販専業企業にとっても脅威になりうる。
今上期(11年3月期)のモバイルの伸長率は前年同期比30%増、PCは同15%増。数年のうちにネット経由の売上高を18~20%程度にまで高める考えだ。