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【マガシークの井上社長に聞く ファッションECの成長戦略は?㊦】 試着サービスが好評に、ブランド自社EC支援も拡大、数年後に取扱高500億円へ

2018年 7月12日 10:18

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 前号に引き続き、マガシークの井上直也社長(=写真)に、2018年3月期業績の総括や成長戦略などを聞いた。

                  ◇

 ――前期の「dファッション」以外の状況は。

 「前期のファッション通販サイト『マガシーク』はほぼ計画通りで着地できたが、既存顧客率が少し高いのが課題で、今期は新規顧客獲得の予算をかなり増やして臨んでいる。NTTドコモとの共同通販サイト『dファッション』が会社全体の成長をけん引しているが、『マガシーク』の在庫と共有しているため、ブランドさんから預かる在庫が増えれば『マガシーク』の伸びも期待できる。今期の『マガシーク』は前期の伸び率の4倍を計画している」

 ――アウトレット商材などを扱う「アウトレットピーク」については。

 「マーケット全体でセールが増え過ぎたこともあってアウトレット商材のお得感が出しづらく、前期の伸び率は2ケタを維持したが、計画値には届かなかった。お客様からすると、『アウトレットピーク』と『マガシーク』のセール品は何が違うのか分かりにくいのかもしれない。品ぞろえを工夫していく必要がある。今期の『アウトレットピーク』の売上高は微増を見込んでいる」

 ――「アウトレットピーク」では昨夏から古着の販売も始めた。

 「古着の商品点数はスタート時の1200型から8000型くらいに増えている。期待したほどの売り上げにつながっていないが、着実に伸びている。古着コーナーの入り口が分かりづらいため、UIを改善する。現状は『アウトレットピーク』最上部のタブにアイテムやショップ、価格、ランキングなどと並んで『古着』のタブを配置しているが、今後はブランド名を選ぶとアトレット商品と古着が同時に見られるようにし、古着の認知を高めたい」

 ――ブランド直営ECの運営支援などを行うECソリューション事業が好調だ。

 「ECソリューション事業はこの5年間で非常に成長した。百貨店ブランドのレリアンさんなどの自社EC支援で成果が出ていることで、次の案件獲得につながっており、今夏までに7ブランドの自社EC支援を新たにスタートする。事業部員も20人体制となり、受けられる案件の数も増えているため、もっと成長させたい。どのアパレル企業も自社ECを一番大事にしたいと思う一方で社内にECのプロがいなかったり、外部から採用しても人材が足りなかったりしており、当社のノウハウを含め、担当者がついて事例を示しながら二人三脚で伸ばしている。ECソリューション事業では既存取引先のEC売り上げが軒並み2倍以上成長していて、当社の利益面にも貢献している」

 ――自社EC支援はゾゾグループも再強化を表明し、ショップリストも本格参入する。

 「競争は激しいが、どこかの企業が独占できるような市場ではないため、当社の色をしっかり出していく。『dファッション』だけでなく、ECソリューション事業が好調なこともあって倉庫の拡張を今夏に前倒しする必要があった」

 ――「マガシーク」の新客開拓に向けては。

 「1円で返品ができる『おためし(試着)サービス』を昨年9月から実施していて、非常に好評だ。通常、商品が自分のイメージと違ったとか、サイズが合わないなど、顧客都合の返品の場合、返品時の送料はお客様に負担頂いているが、『おためしサービス』では当社が負担する形だ。本当は0円にしたかったが、システム上の問題で1円とした。今後、システムを改修して0円にしたい。自宅に気になる商品をたくさん取り寄せて試着してもらい、合わない商品は返品できるため、これをSNSで拡散してもらい、他のECモールを使っている人にも『マガシーク』を試してもらえたらいい」

 ――「おためしサービス」は井上社長の肝入りで始められたとか。

 「その通りだ。物流費が上がっている中、反対の声が多かったが、やってみたら作業は増えるものの、『おためしサービス』利用者の(返品前の)客単価は通常の約3倍で、最終的な購入額で見ても利益は出ている。『マガシーク』で利益を確保できたため、『dファッション』にも導入した」

 ――今夏にもロコンドと相互出店するが、御社のメリットは。

 「売り上げを伸ばす上では、いかに商品を確保するかが重要になる。ロコンドさんが取り扱っている規模の靴を当社が一から仕入れるのは大変だし、倉庫もさらに広げる必要が出てくる。ロコンドさんの持つ靴は当社で扱いのないものも多く、品ぞろえを補完できる」

 ――今期の優先課題と今後の目標は。

 「今期は『dファッション』と『マガシーク』を大幅に伸ばす計画で、倉庫の拡張を含めて早めに商品を確保できる体制を整備する。本業を伸ばすことを優先し、脇道にそれずに取扱高の拡大を図る。数年後に500億円を目指す」(おわり)

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