楽天が昨年11月に「楽天市場」で実施したセールにおいて、不当な二重価格表示を行った疑いのある店舗が含まれていたことが分かったことが発端となり、大きな波紋を呼んだ「二重価格問題」。楽天では問題を受けて、店舗による不当な二重価格を防止するため、元値の種類を「当店通常価格」と「メーカー希望小売価格」に限定したほか、メーカー希望小売価格については、消費者が確認できる元値の根拠資料(エビデンス)の掲載を義務付けており、不当表示撲滅に向けて動き出していた。
それに伴い、取り締まりも非常に厳しくなっている。同社ECコンサルタントが「楽天市場」の出店者に対し、元値を不当に釣り上げる「二重価格」を指示していたことを認めた4月25日。A店は価格表示ガイドラインに違反したとして、楽天から強制出店停止処分を受けたという。
価格表示はワンプライスなのに、商品名に「通常価格より50%オフ」という表現が含まれていたのが理由だ。店舗の責任者は「数千商品あるうちの2アイテムで割引の表現を消し忘れただけのことで、あくまでケアレスミス。指摘があればすぐ直したのに、いきなり強制出店停止処分は酷すぎる」と憤る。
楽天から修正を求められた商品は、メーカー希望小売価格に対する割引率を明記していた。エビデンス掲載の義務付けが始まったことから、カタログの該当部分をスキャンするなどして、順次掲載を行っている際に起きた「ミス」だという。「本来、エビデンスは(消費者庁などに)求められた際に提示できる形なら問題ないはず。確かにガイドライン違反ではあるが、景品表示法に違反はしていない」(店舗の責任者)。
強制出店停止を受けてA店では表示を修正。その上で「今後違反行為が発覚した場合には、出店契約解除となることを了承する」などという「誓約書」を楽天側に提出し、翌日に解除された。担当のECコンサルタントに連絡したところ、「二重価格関連で規約違反とみられる全店舗を出店停止にしているようだ」「本来は(出店停止の前に)修正依頼メールを送るはずだが、今回は送っていない」などと説明を受けたという。
A店では、連休前の週末ということもあり、楽天市場内に有料広告を出稿していただけに、「過去の広告出稿による効果がはっきり分からないので推測するしかないが、販売できなかった期間の損害は非常に大きい」(責任者)。出店停止となっていた期間の推定売上高や広告料金、追加で配信したメールマガジンの代金などを概算すると、損失は約400万円にのぼるという。
景表法よりも厳しいガイドラインを作った楽天だが、前提となっていたのは「店舗側の判断で不当表示をした」という同社側の言い分だ。だが、社員の関与が判明したことでそれは通用しなくなった。A店の責任者も「『広告効果を上げたいのなら割引率を高くしましょう』という提案はECコンサルから常にあった。元値をいじれとまでは言わないまでも、(不当表示を)なかば推奨するカルチャーはあった」と指摘する。
もちろん表示の適正化は、これまで楽天市場のみならず、通販サイト全般に不当表示が横行していたことを考えれば、歓迎すべきことといえる。ただ、法律よりも厳しいガイドラインを設ける根拠はどこにあるのか。これまでの不当表示に関する楽天の責任を総括しない限り、店舗の不満は広がる一方だ。
なお、4月25日に規約違反の店舗を一斉強制出店停止にした事実や、表記の修正依頼メールを送らずに停止した理由などについて楽天に問い合わせたところ、「貴社とは係争中のため、問い合わせ等への回答は差し控えます。貴社の取材に基づいた事実確認を十分に行い、誤った報道を行わないよう留意することを申し添えます」との返答があった。
それに伴い、取り締まりも非常に厳しくなっている。同社ECコンサルタントが「楽天市場」の出店者に対し、元値を不当に釣り上げる「二重価格」を指示していたことを認めた4月25日。A店は価格表示ガイドラインに違反したとして、楽天から強制出店停止処分を受けたという。
価格表示はワンプライスなのに、商品名に「通常価格より50%オフ」という表現が含まれていたのが理由だ。店舗の責任者は「数千商品あるうちの2アイテムで割引の表現を消し忘れただけのことで、あくまでケアレスミス。指摘があればすぐ直したのに、いきなり強制出店停止処分は酷すぎる」と憤る。
楽天から修正を求められた商品は、メーカー希望小売価格に対する割引率を明記していた。エビデンス掲載の義務付けが始まったことから、カタログの該当部分をスキャンするなどして、順次掲載を行っている際に起きた「ミス」だという。「本来、エビデンスは(消費者庁などに)求められた際に提示できる形なら問題ないはず。確かにガイドライン違反ではあるが、景品表示法に違反はしていない」(店舗の責任者)。
強制出店停止を受けてA店では表示を修正。その上で「今後違反行為が発覚した場合には、出店契約解除となることを了承する」などという「誓約書」を楽天側に提出し、翌日に解除された。担当のECコンサルタントに連絡したところ、「二重価格関連で規約違反とみられる全店舗を出店停止にしているようだ」「本来は(出店停止の前に)修正依頼メールを送るはずだが、今回は送っていない」などと説明を受けたという。
A店では、連休前の週末ということもあり、楽天市場内に有料広告を出稿していただけに、「過去の広告出稿による効果がはっきり分からないので推測するしかないが、販売できなかった期間の損害は非常に大きい」(責任者)。出店停止となっていた期間の推定売上高や広告料金、追加で配信したメールマガジンの代金などを概算すると、損失は約400万円にのぼるという。
景表法よりも厳しいガイドラインを作った楽天だが、前提となっていたのは「店舗側の判断で不当表示をした」という同社側の言い分だ。だが、社員の関与が判明したことでそれは通用しなくなった。A店の責任者も「『広告効果を上げたいのなら割引率を高くしましょう』という提案はECコンサルから常にあった。元値をいじれとまでは言わないまでも、(不当表示を)なかば推奨するカルチャーはあった」と指摘する。
もちろん表示の適正化は、これまで楽天市場のみならず、通販サイト全般に不当表示が横行していたことを考えれば、歓迎すべきことといえる。ただ、法律よりも厳しいガイドラインを設ける根拠はどこにあるのか。これまでの不当表示に関する楽天の責任を総括しない限り、店舗の不満は広がる一方だ。
なお、4月25日に規約違反の店舗を一斉強制出店停止にした事実や、表記の修正依頼メールを送らずに停止した理由などについて楽天に問い合わせたところ、「貴社とは係争中のため、問い合わせ等への回答は差し控えます。貴社の取材に基づいた事実確認を十分に行い、誤った報道を行わないよう留意することを申し添えます」との返答があった。