アスクルが"再挑戦"を始める。5月11日から、実験用具などの「理化学用品」の取り扱いを開始した。併せて工具や防塵マスクなどのいわゆる「作業用品」の取扱商品数も大幅に拡充した。同社がこうした商材群を展開するのは実は今回が初めてではない。過去にこれらの商材をメーンとした通販カタログを創刊し、本格展開を行ったものの、早々に撤退した"苦い経験"がある。果たしてリベンジはできるのだろうか。
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アスクルは5月11日付で通販サイト内に専用コーナー「理化学実験用品ショップ」(画像)を開設。試験管やビーカー、フラスコ、計測器、洗浄機器などの理化学実験用品など約2万5000点のネット販売をスタート。
また、工場や作業現場で使用する工具や手袋、防塵マスクなどの作業用品の取扱商品数を大幅に拡充。従来は約1660点程度の品ぞろえだったが、約1万2000点まで増やし、同じく通販サイト上で販売を始めた。
こうした商材の取扱開始や拡充の狙いは特定業種の企業・施設への「深掘り戦略」にある。アスクルは日本中の企業を相手に文具やコピー用紙などいわゆる「オフィス用品」などを通販展開している。その膨大な顧客事業所の中には一般オフィス以外に、研究部門や学校、研究施設、工場など様々な業種・業態の事業所も多く、そうした事業所ではオフィス用品のほか、それぞれ当該業種ならではの必要な商材がある。それら商材を取り扱えば、オフィス用品と一緒に購入する可能性が高く、客単価や購入回数のアップにつながる可能性が高い。
現在も専用カタログを作って展開中の医療施設向け通販もこうした発想から生まれたものだ。今回の理化学実験用品の取り扱い開始や作業用品の拡充もこれが狙いとなるわけだ。ただ、そう思惑通りに行かないのが難しいところで、実はアスクルでは08年2月、マスクや作業着など作業用具を中心に、一部、測定用品や理化学用品などの商材群を掲載した専門カタログ「アスクル工場系MROカタログ」を創刊、6万社に配布している。ところがすぐに当該カタログの発行をやめている。理由は定かではないが、在庫リスクの問題から的確な品ぞろえができなかったり、価格優位性が担保できなかったりで、想定していたほどの売り上げを得ることができなかったためだろう。
こうした過去の失敗を踏まえてか、今回はなるべくコストをかけず、リスクを軽減しながらまずは小さくスタートしているようだ。今回の場合、カタログは出さず、あくまでネット販売のみ。
また、商品調達面も08年当時は自社仕入れ、自社配送だったが、今回は昨年11月に子会社化した間接材一括購買システムを介した法人向け間接材販売のアルファパーチェスの仕組みを使い、自社仕入れで自らの物流倉庫から配送する形ではなく、メーカーからの直接発送とした。要は在庫を抱えなくて済む受注発注という形となる。
ネット販売限定で商品もメーカーからの直送。これでは以前と比べ、売り上げや利益面の貢献度は低そうだ。しかし、その分、取扱商品の見直しや価格の改定などを自由に行うことができ、在庫リスクも抱える必要がない。小さくスタートし、当該分野での知見とノウハウを蓄積し、徐々に売り上げを拡大していきたい考えのようだ。
アスクルは5月11日付で通販サイト内に専用コーナー「理化学実験用品ショップ」(画像)を開設。試験管やビーカー、フラスコ、計測器、洗浄機器などの理化学実験用品など約2万5000点のネット販売をスタート。
また、工場や作業現場で使用する工具や手袋、防塵マスクなどの作業用品の取扱商品数を大幅に拡充。従来は約1660点程度の品ぞろえだったが、約1万2000点まで増やし、同じく通販サイト上で販売を始めた。
こうした商材の取扱開始や拡充の狙いは特定業種の企業・施設への「深掘り戦略」にある。アスクルは日本中の企業を相手に文具やコピー用紙などいわゆる「オフィス用品」などを通販展開している。その膨大な顧客事業所の中には一般オフィス以外に、研究部門や学校、研究施設、工場など様々な業種・業態の事業所も多く、そうした事業所ではオフィス用品のほか、それぞれ当該業種ならではの必要な商材がある。それら商材を取り扱えば、オフィス用品と一緒に購入する可能性が高く、客単価や購入回数のアップにつながる可能性が高い。
現在も専用カタログを作って展開中の医療施設向け通販もこうした発想から生まれたものだ。今回の理化学実験用品の取り扱い開始や作業用品の拡充もこれが狙いとなるわけだ。ただ、そう思惑通りに行かないのが難しいところで、実はアスクルでは08年2月、マスクや作業着など作業用具を中心に、一部、測定用品や理化学用品などの商材群を掲載した専門カタログ「アスクル工場系MROカタログ」を創刊、6万社に配布している。ところがすぐに当該カタログの発行をやめている。理由は定かではないが、在庫リスクの問題から的確な品ぞろえができなかったり、価格優位性が担保できなかったりで、想定していたほどの売り上げを得ることができなかったためだろう。
こうした過去の失敗を踏まえてか、今回はなるべくコストをかけず、リスクを軽減しながらまずは小さくスタートしているようだ。今回の場合、カタログは出さず、あくまでネット販売のみ。
また、商品調達面も08年当時は自社仕入れ、自社配送だったが、今回は昨年11月に子会社化した間接材一括購買システムを介した法人向け間接材販売のアルファパーチェスの仕組みを使い、自社仕入れで自らの物流倉庫から配送する形ではなく、メーカーからの直接発送とした。要は在庫を抱えなくて済む受注発注という形となる。
ネット販売限定で商品もメーカーからの直送。これでは以前と比べ、売り上げや利益面の貢献度は低そうだ。しかし、その分、取扱商品の見直しや価格の改定などを自由に行うことができ、在庫リスクも抱える必要がない。小さくスタートし、当該分野での知見とノウハウを蓄積し、徐々に売り上げを拡大していきたい考えのようだ。