日健栄協・新理事に聞く、下田智久理事長、「会員数の増大図る」、安全性認証は初年度90件目指す
今年7月、日本健康・栄養食品協会(日健栄協=事務局・東京都新宿区)の新理事長に元厚生労働省健康局長の下田智久氏が就任した。昨今の健康食品業界は行政による行き過ぎた表示規制にさらされているが、これまで日健栄協は行政に対峙できる団体として求心力を発揮することができず、その存在感は薄れてきている。協会改革を進めることが急がれる中、7月には健食の「安全性認証」事業を開始。2013年末までを移行期間とする「公益法人制度改革」で公益財団として認定をめざすなど、改革に本腰を入れつつある。こうした中、新理事長に就任した下田氏に今後の展望について聞いた。
まず、今の健康食品業界に対する問題意識について伺いたい。
「実はまだ就任したばかりで健食事業に関わる事業者の方々が抱えている問題がどの辺りにあるのか把握できていません。ただ、会員数(今年7月時点で約780社)の減少は事実であり、これは会員ニーズに応えられていないことの表れだと考えています。今後、会員数の増大を図る施策は必要です」
厚生労働省の出身でもあり、健康食品に関わる問題に詳しいと聞いていましたが。
「確かに厚生労働省時代は、国民の健康づくりに関わる基本法がないことに問題意識を持っており、『健康増進法』を成立させました。ただ、現状、事業者の方々の悩みがどこにあるかは捉えきれていません」
今後、協会が求心力を発揮していく上で、核となるのが新事業として展開する健食の「安全性認証」であると思います。7月21日から申請受付を開始しましたが出足は。
「申請はまだありませんが、問い合わせは100件以上寄せられており、目標は達成できると考えています」
初年度の目標件数は。
「90件を見込んでいます。相当引き合いはあるので、容易に達成できるはずです」
健食の安全性認証を巡っては、健康食品・サプリメント情報センター(JAHFIC)が有効性と安全性を認証する「ハイクオリティ認証」を開始しています。連携を図られていくのでしょうか。
「それは難しい。有効性の評価は簡単なものではなく、JAHFICと共同で何かを行うということは今後もないと思います」
日健栄協傘下の8団体で組織する「健康産業協議会」は、有効性ガイドラインの策定を進めています。策定のメドはたっていますか。
「ガイドラインについては協会内に新たに委員会を設け、委員を選任して改めて検討を進めていきます」
求心力を発揮していく上では、他の業界団体と連携を強化することも必要です。「GMP認証」事業についても業界内には、日本健康食品規格協会(JIHFS)による認証制度があります。統一化が必要だと思いますが。
「これについては協会内に協議会を設け、協議を始める準備を進めています」
今回、理事長職は「非常勤、無報酬」を条件として選任され、これまでと異なります。なぜ引き受けられたのでしょうか。
「これまで理事長職を務められた方々はいずれも学識経験者でしたが、私は行政一筋でやってきました。期待されていることは行政とのパイプ役であり、これまでのキャリアを活かして協力していきたいと思います。また、理事長職を兼務する『ヒューマンサイエンス振興財団』は全国の学識経験者と太いパイプを持っています。学術ネットワークを形成する上でも協力できればと考えています」
◇
(下田智久新理事長の略歴)1944年生まれ。熊本大学医学部を卒業後、69年6月に厚生省(現・厚生労働省)に入省。埼玉県本庄保健所長、茨城県衛生部長、労働省労働基準局安全衛生部長、厚労省大臣官房技術総括審議官などを経て、2001年に厚労省健康局長に就任。同職を最後に退官後、社会福祉・医療事業団理事、福祉・医療機構理事、ヒューマンサイエンス振興財団理事長などを務める。
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まず、今の健康食品業界に対する問題意識について伺いたい。
「実はまだ就任したばかりで健食事業に関わる事業者の方々が抱えている問題がどの辺りにあるのか把握できていません。ただ、会員数(今年7月時点で約780社)の減少は事実であり、これは会員ニーズに応えられていないことの表れだと考えています。今後、会員数の増大を図る施策は必要です」
厚生労働省の出身でもあり、健康食品に関わる問題に詳しいと聞いていましたが。
「確かに厚生労働省時代は、国民の健康づくりに関わる基本法がないことに問題意識を持っており、『健康増進法』を成立させました。ただ、現状、事業者の方々の悩みがどこにあるかは捉えきれていません」
今後、協会が求心力を発揮していく上で、核となるのが新事業として展開する健食の「安全性認証」であると思います。7月21日から申請受付を開始しましたが出足は。
「申請はまだありませんが、問い合わせは100件以上寄せられており、目標は達成できると考えています」
初年度の目標件数は。
「90件を見込んでいます。相当引き合いはあるので、容易に達成できるはずです」
健食の安全性認証を巡っては、健康食品・サプリメント情報センター(JAHFIC)が有効性と安全性を認証する「ハイクオリティ認証」を開始しています。連携を図られていくのでしょうか。
「それは難しい。有効性の評価は簡単なものではなく、JAHFICと共同で何かを行うということは今後もないと思います」
日健栄協傘下の8団体で組織する「健康産業協議会」は、有効性ガイドラインの策定を進めています。策定のメドはたっていますか。
「ガイドラインについては協会内に新たに委員会を設け、委員を選任して改めて検討を進めていきます」
求心力を発揮していく上では、他の業界団体と連携を強化することも必要です。「GMP認証」事業についても業界内には、日本健康食品規格協会(JIHFS)による認証制度があります。統一化が必要だと思いますが。
「これについては協会内に協議会を設け、協議を始める準備を進めています」
今回、理事長職は「非常勤、無報酬」を条件として選任され、これまでと異なります。なぜ引き受けられたのでしょうか。
「これまで理事長職を務められた方々はいずれも学識経験者でしたが、私は行政一筋でやってきました。期待されていることは行政とのパイプ役であり、これまでのキャリアを活かして協力していきたいと思います。また、理事長職を兼務する『ヒューマンサイエンス振興財団』は全国の学識経験者と太いパイプを持っています。学術ネットワークを形成する上でも協力できればと考えています」
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(下田智久新理事長の略歴)1944年生まれ。熊本大学医学部を卒業後、69年6月に厚生省(現・厚生労働省)に入省。埼玉県本庄保健所長、茨城県衛生部長、労働省労働基準局安全衛生部長、厚労省大臣官房技術総括審議官などを経て、2001年に厚労省健康局長に就任。同職を最後に退官後、社会福祉・医療事業団理事、福祉・医療機構理事、ヒューマンサイエンス振興財団理事長などを務める。