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TOPインタビュー ベルーナ、安野清社長①「リピート促進に注力」、低価格品拡充で業績回復 

2010年 6月10日 14:33

2010年3月期は大幅増益となり、最終黒字に転換したベルーナ(本社・埼玉県上尾市)。主力のカタログ事業は、消費低迷の影響を受けて減収とはなったものの、アクティブ会員が前期から約1・3%増加するなど回復基調にある。今年1月には基幹システムを刷新し、注文から配送までの日数を短縮するなど、サービスレベルも大幅に向上。さらなる収益回復と売上高拡大に向けた道筋も固まりつつある。安野清社長に今後の取り組みを聞いた。
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2010年3月期は最終赤字から回復し、カタログ事業の売り上げ減にも歯止めがかかった。

 「カタログ事業は下期に回復基調に転じた。今期もこれを継続したい。その最大の要因は、高価格帯を残しつつ、低価格帯の商品を増やしたことだろう。もう一つはネット販売の伸長。当社の顧客は中高年層が多く、ネットにはなじまないと考えていたが、若年層向けを伸ばすには欠かせない。今後は20~30代向けに関しては、他社並みのネット比率を実現したい」

 低価格帯の構成比が増えると、粗利益率は落ちるのでは。

 「確かに若干落ちるが、媒体費で調整していく。ただ、注文数が大幅に増加しているので、問題は物流費をどこで吸収するかだろう。倉庫内作業を最適化するために、配送業者を絞るといった工夫もしている」

 客単価はどの程度下がったのか。

 「約15%下がった。商品単価も約30%下がっているが、その分同時購入点数が上がっており、従来は2点を切っていたものが、3点を超えた。客数も、若年層では40%以上、トータルでも20%以上増えている」

 同時購入点数の増加は、システムの刷新による配送日数の削減が効果を発揮しているのか。

 「そうだ。また、かつては極端に言えば、欠品となってから商品を追加で仕入れるという形だった。現在は、顧客サービスの観点から、欠品は絶対に起こしてはならない、というように担当者の意識も大きく変わった」

 「配送日数に関しては、頒布会が中心だった頃の感覚が抜けていなかったという反省がある。現在は4日を切っており、在庫のある商品であれば翌日配送も可能だ。もちろん、キャンセル率低下にも貢献した」

 リピート率向上にもつながる。

 「当社の場合、新規顧客の獲得に強みがあったが、それに甘えて顧客リストの活用に関しては遅れていた。今後はカタログ発行の合間にハガキを送るなど、リピート促進を今まで以上に図りたい。ネット販売に関しては、1カ月以内にリピートする顧客は定着する傾向があるが、最初の購入から3~4カ月リピートのない顧客は掘り起こしが難しくなる、というように二極化している。一度購入した顧客に対し、いかに短いスパンで案内できるかが勝負だろう。ネットとカタログで顧客の傾向に大きな差があるわけではないが、レコメンドがあるので同時購入点数はネットの方が多い」

 前期のカタログ発行部数は。

 「前半は約10%減、後半は若干減。トータルでは10%弱減らしている。今期については、前期並みか、顧客リストが増加傾向にあるので、やや増やすかもしれない。折込チラシに関しては年々レスポンスが悪くなっているため、減少傾向にある」

 若年層向け事業の強化を打ち出した。

 「20~30代女性を対象にした『リュリュ』『ルアール』の10年3月期売上高は約98億円だが、これを250億円まで増やしたい。仕入れのロットが小さいとやりづらいので、規模を拡大しなければならないわけだ。中高年層はネット販売を伸ばすといっても限界があるが、若年層はまだまだ伸ばす余地がある。来季は若年層向け事業のネット販売比率が50%を超える見込みだ」(つづく)






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